大学生協の食堂の英語が適当で気になる話

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北海道大学の札幌キャンパスには大学生協が運営する食堂が学内にいくつかあります。多くの学生や職員が授業や研究などの合間に食事をとっている光景がよく見られます。

北部食堂のメニュー例。コロナ禍の状況でバリエーションが減っている。

学内関係者はもちろん、札幌キャンパスは札幌市の事実上の観光名所にもなっていることから、観光客を始めとした多くの学外者も利用します。

そんな大学生協の食堂では日本語を母語としない外国人の利用者も決して少なくないこともあり、数多くのメニューには日本語以外の言語で名称が併記してあります(あえて「英語」と表現していません)。

この記事では、その中でも私が勝手に印象に残ったものを紹介します。

食堂のメニューの構成

印象に残ったものを紹介する前に、食堂メニュー表示の基本的な構成を紹介しておきましょう。大抵の表示は以下の写真のようになっています。

カレーライスの例。

真ん中に大きく料理の写真があり、その上に日本語のメニュー名、下に価格が記載してあります。メニュー名に付随してアルファベットの表記があり、それぞれローマ字読みのメニュー名内容を解説しているらしき文が並んでいます。ここでは “KARE RAISU" と読みが載っており、"Curry rice" とも併記されています。

以下では「そうはならんやろ」というところを紹介していきます。

MIX SURO-

これは 2018 年 6 月に北大の中央食堂で撮影したメニュー表です。

手軽に野菜がとりたいときに食べる。

ミックススローが載っています。キャベツを中心にニンジンやら玉ねぎやらを刻んだサラダです。上に “MIX SURO-" と書いてあり、下には “MIKKUSU SURO-" とあります。この投げやり感のある “SURO-" がなんとも言えない雰囲気を醸し出しています。

そもそも「ミックススロー」は造語のようなもので、「コールスロー」 “Coleslaw" が由緒ある単語のようです。Wikipedia の記事によれば元々はオランダ語の “Koolsalad"(kool = キャベツ、salad = サラダ)を短縮した “Koolsla"(クールスラ)から “Coleslaw" となったようです[1]Wikipedia の当該ページには出典情報がまったく載ってないので信憑性は不明。。このうち「スロー」だけ独立して、キャベツの千切りなどを含むようなサラダ全般を「〇〇スロー」表現するようになったと記述があります。

そして “MIKKUSU SURO-" にしろ、 “MIX SURO-" にしろ、普通ハイフン “-" は英語圏で長音符の意味合いは持たないでしょう。「なんか単語の途中なのかな?」などと思わせるだけじゃないでしょうか。

Energy ramen

これも 2018 年 6 月に撮影した「スタミナつけ麺」のメニューです。

つけ汁が結構濃い記憶。

Energy ramen with garlic flavored dipping sauce" とあります。直訳すれば「ニンニク風味つけダレエネルギーラーメン」でしょうか。なんていうか「エネルギー」の表記必要ですか、これ

もちろん「スタミナ」感を強調したい気持ちはわからんでもないです。でも「エネルギーラーメン」はどうなんでしょうか。最近はまあ「エナジードリンク」なんかも流行っているので、同じようなもんだと思えばいいのかもしれませんが……。

しかし「ニンニク」で「滋養強壮」「スタミナ」を日本人としてイメージするのはわかりますが、外国人にそこは結びつくものでしょうか。エナジードリンクからの類推だと「カフェイン入りラーメン」みたいな感じになりそうです。そんなことないですかね。素直に “Stamina ramen" ではダメだったのか……。

カルボうどん

最後に紹介するのは 2018 年 12 月に撮影した「カルボうどん」です。

これはカルボナーラソースのパスタ麺の代わりに「うどん」が入ったようなメニューなのですが、その英語表記に注目すると “Carbonara in udon noodles" とあります。これ、何かおかしくないですか。

カルボナーラソースにうどんが入っているので “Udon in carbonara sauce" になるのではないでしょうか。というかシンプルに “Udon carbonara" でもよかったでしょう。"Carbonara in udon noodles" だと「うどんの中にカルボナーラが入っている」ということになると思います。私がこれを聞いてイメージするのは「ちくわやマカロニのような中空のうどんにカルボナーラが仕込まれた料理」とか「生地にカルボナーラが練り込まれたうどん」です。違いますか?

内包関係が逆になっているような気がしてなりません。ただでさえちょっと謎な創作メニューなのですから、説明はちゃんとしてほしいと思ってしまいます。

他にも色々ある

以上のように、「この英語表現でいいのか?」と疑問に思うメニューは結構あります。丁寧にカレーに対して “KARE-" なんて書いてあることもあったりして、普通にそれは “Curry" でいいんじゃないかと思ったり、ツッコミどころはたくさんあります。特に期間限定メニューの類はよく見つかることが多いですね。

これは “Spring salt ramen" (2019 年 4 月)

まあ海外なんかだと「コレは寿司なのか?」みたいなものに「寿司」って表記を並べていたりとか、「意味不明な漢字シャツ着ている人」とか「Superdry(極度乾燥しなさい)」なんてブランド名があったりするので、こういった表現の違いは色々お互い様なのかもしれません。

このように英語表記は結構ツッコミどころがあるものも多く、街中にもたくさんあふれています。色々探してみるのも一興かもしれません。

2022/02 追記
食堂のスタッフの方々は英語を十分理解できない人も多く、下手にネイティブスピーカーの学生などに流暢に英語で注文されても困ってしまうため、ローマ字読みで頼んでほしいという側面もあるようです。元々バイトしていた人が言ってました。

大学近くで食事するといえば

北 12 条液近くのスープカレー「ピカンティ」はいいお店です。

脚注

脚注
1Wikipedia の当該ページには出典情報がまったく載ってないので信憑性は不明。