生誕1万日記念にポッキー1万本食べようとした話

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みなさん、自分の誕生日を覚えていますか。大抵の人は覚えていますよね。でも、生まれてから何日経っているか気にしている人はほとんどいないでしょう。この記事はそんなことをわざわざ思い出して、10,000 日の記念日に何かを試みてみようとしたときの記録です。

生誕10,000日に向けて

そもそも「生誕 10,000 日」というのを意識したのは、私が小学 5 年生、2001 年のころでした。当時読んだウェブコラムの記事が発端です。その当時「大体 27 歳ごろにそれはやってくる」ということだけ覚えていたのですが、27 歳を迎えるちょっと前、2017 年の 6 月頃(※ 私の誕生日は 1990 年 7 月 9 日)に唐突に思い出し、調べてみたところ「2017 年 11 月 24 日」ということが判明しました。(調べるのに次のウェブサイトを利用しました。10000日記念日

そこから生誕 10,000 日へ向けて「記念に何をするか」ということを意識して考え出しはじめました。2017 年当時は大学院の博士 2 年生だったので、周りの学生や指導教員なんかに相談したりしてみました。

最初は「10,000 円で何か好きなことをする」という案が出たのですが、あんまり面白そうじゃないのでやめました。もっとこう見た目的に面白くて、達成感がありそうなものを考えようとしていたので、金額だけ先に決めてしまうのはつまらないような気がしたからです。

他にも色々考えた結果
・10,000 m 走る / 泳ぐ
・10,000 回フラフープを回す
・10,000 粒の米を食べる
・10,000 粒の麦チョコを食べる
・10,000 g(= 10 kg)のご飯を食べる
等あって「10,000 m 泳ぐ」は少し魅力的に思えたのですが、一人で勝手にやってるだけの絵面になると思ったのでやめました。

ポッキーを 10,000 本用意しよう

色々悩んだ結果、研究室の先輩が「11 月ってポッキーの日あるよね」的なことを言ったのをキッカケに「ポッキー 10,000 本用意してみたらいいんじゃないか」という方向になりました。これなら絵としてもわかりやすいし、なんか頑張ったら食べられそうな気がしました(少なくとも思いついたときは……)。

そこでまずはポッキーのスペックを検討して、実現可能性について検討しました。本数を稼げばよいので「ポッキー極細」でいくことは最初に決めました。ポッキー極細のスペックは以下のとおりです。
・一箱あたり 50 本(25 本入が 2 袋入り)
・一箱あたり 71 g
したがって 10,000 本のポッキーのためには「ポッキー極細 200 箱」を用意すればよいことがわかりました。

これは重さに直すと「ポッキー約 14 kg」です。……ここで困りました。14 kg というのは、全然一日のうちに食べられるような量ではありません。私の実力では、頑張ったところで精々 1 食あたり 1.5 kg 程度の量が関の山です。それも一日一回しかできません。そこで一人で全部食べるのは少し諦めて「10,000 日祝いにみんなでポッキー 10,000 本食べる会を催し全力でポッキーを食べる」ことにしようと考えました。

次に困ったのは資金です。極細ポッキーを 200 箱も用意するためには約「40,000 円」の費用がかかることが見込まれました。ただ大学生協では毎年 11 月 11 日に「ポッキーの日」としてセールが行われることは知っていたので、その日に購入することで費用を抑えることにしました。この日はポッキー一箱 150 円 + 生協ポイント 11 % となることが宣伝されていたので、トータルで必要な費用としてはおよそ 30,000 円です。

これでも少ししんどかったので 10 月ごろに研究室内で「クラウドファンディング」を実施することで資金調達することを考えました。幸い所属していた研究グループはたくさんメンバーがいたので、みなさんからお祝い(協賛金)を強要することで資金を集めました。

ポッキーを購入する

あらかじめ大学生協(北海道大学生協中央店)には「ポッキーの日(当時 11 月 11 日は土曜日だったので、イベント日はその前日の11月10日)にポッキー極細を 200 箱購入したい。ただし受け取りは 11 月 23 日(記念日前日)にしたい」という旨を伝えておきました。いきなり行って買えないんじゃ元も子もありません。

当日、宣言通り購入しに行きました。あらかじめお願いをしていた店のパートさんがサービスカウンターにいたので、その方に会計に来た旨を伝えたところ、パートさんがレジにいた社員さんに一箱渡して「これを 200 箱分会計して」と伝えたあと社員さんが「これを 200 …… 200 ですか?」と動揺していたのが印象的でした。「ポッキーだけで 30,000 円も動くの始めて見たわ」と感動していただきました。

余談ですが、ポッキーの受け取り自体は記念日の前日にお願いしていたものの、同時に行われていたキャンペーンでポッキー型バルーンを二箱購入に付き一本もらえたので、それも大量にもらいました。全然いらなかったけど、記念日の賑やかしに使いました。

生誕10,000日記念日当日

ポッキー購入直後(11 月 10 日)より研究室にある交流部屋(以下「研究サロン」)の扉に「生誕 10,000 日記念 10,000 本ポッキーの会」という張り紙を掲げ、当日、11 月 24 日の午前 8:30 より開始しました。まず最初にポッキーの箱を全て机の上に並べ、実際に食べ始めたのは 9:00 頃からでした。

机の上にポッキーを配置する私
見事に並んだ 200 箱

早速箱を開け、極細ポッキーを食べます。最初は一本ずつ、すぐに面倒になってきたので数本ずつまとめて食べ始めます。十数本ずつなど、あまり一度に多く食べようとすると、口の中がいっぱいになるので咀嚼に時間がかかり効率が悪いということも学びました。ちなみにそれ以来この知識が役に立ったことは今の所(2019 年 8 月 現在)ありません。

1 時間後、10 時ぐらいまでには確か 6 箱ほど、300 本のポッキーを食べていました。当時は博士2年のくせに講義(学芸員資格のための「生涯学習論」)を取っていて、2限の時間(10:30 – 12:00)に行かなければならなかったため、ポッキーを二箱だけ持って講義に臨みました。講義室でポッキーをコソコソ食べている姿は少々見苦しかったかもしれません。

昼頃にまた戻ってきて続きを食べ始めました。この頃には研究室の何人かも一緒に食べていて、何本食べられるか少し競争するなど楽しんでいる様子でした。みんなで祝うという観点からは会は成功したといえるでしょう。

まずは 500 本達成!そして……

ひとまず 13 時ごろにはキリよく 10 箱、500 本のポッキーを食べきりました。その勢いのまま、次の 11 箱目を開けて、もう一袋(25 本)食べたところで一旦一息つこうと思いました。強烈な眠気があったからです。研究サロンの端にあるソファへ横たわって、少し寝始めてしまいました。今思えば、これが悪夢の始まりでした……。

私はこの日、5 限の授業(博物館展示論、16:30 – 18:00)もあったため、少なくとも 16:15 頃には動き出す必要がありました。もちろんポッキーも食べるために 13 時すぎから 1 時間程度の仮眠をとるつもりでアラームをセットしました。しかし実際に起き上がれたのは 15:45 でした。実際にはもう少し早く目は覚めていたのですが、あまりの気だるさに起き上がれなかったのです。

完全に体が不調を訴えていました。おそらく血糖値が上昇しすぎていたのだと思います。11 箱目の 2 袋目を開けて、一本ずつなんとか少しづつ食べ勧めていきました。実際すでに限界を迎えていたのでしょう。ほとんと盲聾しながら 534 本まで食べました。その後時間になったので、開けた袋と 12 箱目をカバンに入れて、5 限の授業に向かいました。

5 限の授業は恥ずかしながら、ほとんど机に突っ伏していました。徹夜バイト明けの大学生のように、というか実際にそんな感じもある学部 2, 3 年生たちに取り囲まれながら博士 2 年は倒れていました。もともと講義の最後にある課題レポートの内容さえわかれば問題ないとはいえ、普段そんなことはしないのですが、ずっとうつむいていました。かなり限界を迎えていたのだと思います。

終わりの始まり

結局講義はほとんど聞けず、最後の数分だけ力を振り絞って顔を上げ、レポートの課題を聞き、講義が終了しました。とりあえず戦場に戻るべく少し人が捌けたのを見計らって講義室を出たのですが、ここでちょっと嫌な感じがし始めたのでとりあえずトイレに駆け込み……吐きました

(以下、少々汚い表現が続きますので、ご注意ください。)

今でも(2019 年 8 月現在)あの光景は忘れません。便器の中に広がる真っ黒(茶)な吐瀉物、トイレ全体に広がる甘いチョコレートの香り、お腹のそこから湧き上がる嘔吐感、そして寒気を感じて震えだす体……。この世の地獄とはこのことか、と思いました(ちなみに他に私の知るこの世の地獄は「二日酔いのとき」と「ノロウイルスにかかったとき」です)。結局嘔吐する体勢を維持したまま、小一時間トイレに籠っていました。

少し落ち着き、研究サロンに戻ったときには大勢の学生がポッキーの箱を眺めて呆然としていました。そもそも一人で食べきるのは不可能なことはわかっていたので、協賛金をくださった方を中心にだれでも食べてよいことにしていたのですが、ほとんどの人が 5 箱(= 250 本)食べたあたりでギブアップしていました。

結局、私ももうポッキーに手をつけることができず、グロッキーになりながらみんなでコンビニへ行きました(2017 年当時はまだ北大構内コンビニのセコマがなかったので、学外のファミリーマートまで行きました)。私は前述のように、血糖値が上がりすぎたのかとにかく震えが止まらなかったので、温かいスープを買いました。それでも体の震えはしばらく止まらなかったのですが……。

まとめ

この体験でポッキーを「534 本食べると吐く」ということが明らかになりました。しかしもっと食べようとするときのために、私の想像する範囲で反省点をまとめておきます。

コーヒーを飲みすぎた

研究室の先輩から「血糖値を抑える効果がある」というホントかどうかよくわからん理由によって何杯かコーヒーをもらいました。これを真に受けて、何回もブラックコーヒーを飲んだのですが、これがお腹に刺激を与えた可能性が高かったのではないかと疑っています。マグカップ 5 杯ぐらい飲んだので、そもそも飲みすぎでした。

時間をおきすぎた

今回は途中に講義があったため、食べるペースに空き時間ができてしまいました。一般論としてたくさん食べようとするときはあまり時間をおいてはいけません。また途中で寝たのも問題でした。血糖値が高まっていたとはいえ、寝たことによって明らかにペースを崩したものと推察されます。

以上です。実は私の元々の目標は 1,000 本で、約 1.4 kg なら頑張れば食べられるのではないか、と思っていたのですが、想像以上に甘いものを食べるのは大変でした。みなさんもたくさんポッキーを食べようとするときには参考にしてください。

ちなみに、このときの光景は全部ビデオカメラで撮っていて、およそ 13 時間分の映像が残っています(2/3 ぐらいは私が講義にいって不在か、寝ている映像ですが)。これ、いつか YouTube か何かにアップロードしないとなあ……。

その後

ちなみにその翌日には士幌小屋チセ・フレップに遊びに行く程度には回復していました。10,001 日目に訪れたという意味で思い出に残っています。道中も車を運転しながらポッキーを食べ続けました。人間は強い。

当日いきなり誘ったのに来てくれた人たち。士幌小屋の前で撮影。

残ったポッキーはもちろん食べきりました。いろんな人に配ったりもしたけれど、最後まで責任もって食べきりました。2017 年内には全部なくすことができました。食べ物は大切にしましょう。

記念日のチャレンジ

これまで何かにつけて記念日には色々やってきました。もしよろしければ以下の記事もどうぞ。